i-signal事業

インタビュー ~二宮清純が障害者スポーツ選手に聞く~

04.利便性を追求したNew信号機

i-signalを見る二人 二宮: この歩行者補助信号機「i-signal」は視覚障がい者や高齢者のことを考えてつくられた信号機です。胸の位置に信号やスピーカーがありますから、見やすいし聞き取りやすい。現在、試験用として大阪市鶴見区の鶴見警察署の前の交差点に8台設置されていますが、一般の人にも注意喚起となって事故が減ったそうです。

三輪: 従来の信号機は横断歩道の向こう側にありますが、「i-signal」はすぐ目の前にあって、しかも自分がいる方向にも信号がついていますから、間近で見ることができる。これは本当に助かります。

二宮: 落合さんの場合はいかがでしょう?

落合: 0.01未満の視力は順に指数弁、手動弁、光覚、全盲となるのですが、私は全盲よりも一つ軽い光覚(こうかく)なんです。赤や青といった色はわかりませんが、光の形状は判別できます、ですから「i-signal」のように青信号が「○(丸)」で、赤信号が「□(四角)」となっていると、「あ、今は赤だな」「青になったから渡れるな」とわかる。非常に便利ですね。

二宮: 地方での大会や遠征で困ることはありますか?

落合: 地方に行くと音声信号が非常に少ないので、宿泊先から少し離れた会場になると、困ることがよくありますね。もちろん、首都圏とは交通量が全く違い、ほとんど車は走っていないところもあるのですが、だからこそ注意しないといけない。信号があることさえも気づかずに渡って、たまに車がスーッと通って行くこともありますからね。押しボタン式の信号があるといいなと思います。

二宮: なるほど、確かにそうですね。「i-signal」は青信号ということを示す誘導音を止めて、押しボタンスイッチを押した時だけ一定時間誘導音が鳴るようにできますから、そういう場所にこそ設置してもらいたいですね。

落合: はい。この大きさなら小さな交差点にあっても邪魔にならないでしょうし、ゴム製ですから、安全面にも配慮されていますよね。

二宮: 他に「i-signal」への感想は?

落合: 私は天井部分に点字があるのが親切だなと思いました。現在地が真ん中にあって、東西南北それぞれの交差点名が記されているので、道がわかりやすい。欲を言えば、北がどちらかだけでも記されていると、さらにいいなと思いますね。

二宮: 三輪さんはいかがですか?

点字部分に触れる三輪さん 三輪: 私はカラーが黄色というのが、見やすくていいと思いました。最近、外観の美しさを考えて、点字ブロックが地面のアスファルトと同じグレーになっているところもあるんです。暗い時は、周りが見えなくなりますので、点字ブロックの上を歩くのですが、グレーだと非常に見にくい。例えば「i-signal」がグレーだと、わからなくてぶつかってしまう人も少なくないと思います。ですから、黄色というカラーは私たち視覚弱者にとっては非常にありがたいんです。私のように点字が読めない人には、点字の近くに大きめの字が書かれてあると、さらに嬉しいですね。

二宮: 2020年オリンピック・パラリンピックの開催地に東京が正式に立候補しました。「i-signal」は世界に先駆けたユニバーサル信号機ですから、招致活動が普及のきっかけになればいいですね。そして何より視覚障がい者、さらには高齢者に安全を提供することができるわけですから、全国に広がっていくことが望まれます。今日はありがとうございました。